良医を育てるシステム作りを早急に

仙台で起こった準看護士筋弛緩剤殺人未遂事件は、終末期医療に携わっている私にとっては衝撃的事件であった。

この事件をニュースで聞き、京都の医師が同じ方法で安楽死事件を引き起こしたのをすぐに思い出したのは、私だけではあるまい。もし、今回の事件が京都の事件にヒントを得ているとすれば、医師は自分達の行為がコ・メディカルに及ぼす影響力の強さを再度認識しなければいけない。

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21世紀の社会保障 ―医療と福祉が寄り添うために―

社会保障とは、その地域の人々が共有する意志や思想を具現化したものであり、その国の社会経済の反映である。

20世紀における社会保障の最大の目的は、人間の英知を集約し病気と貧困を原因とする死を遠ざけようとすることであった。

現在、我が国では、貧困の問題はほぼ解決され、世界一の長寿国となり、当初の目的であった「貧困と病気」は曲がりなりにもある程度達成できたと言って過言ではない。

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この世を去ろうとしている患者さんの見舞いの方へ

韓国の医師で詩人の姜晶中(カンジョンジュン)氏は「実った果実の味から人々は過ぎ去った季節のことを後になって知る」と、書いています。

患者さんは病気が発病してから、ご本人の強い意志と皆様の支えを杖に、現在まで精一杯頑張ってこられました。
私共堂園メディカルハウスのスタッフも可能な限りサポートしてきました。

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もう少し早くお願いします

癌治療に携わる医師へのメッセージー
堂園メディカルハウス 堂園晴彦 吉見太助 吉田恵子

1. はじめに

1996年11月に有床診療所で終末期医療をはじめた。外来は癌の患者のみでなく風邪や妊婦、また、心身症の患者も多く、町の気楽に立ち寄れる総合有床診療所の感が有る。

入院患者の約7割は癌の患者であるが、約3割は慢性疲労症候群、不安神経症、悪阻等色々な病気が原因で入院しており、駆け込み寺的な役割りも担っている。ホスピスマインドは、癌の患者のみでなく、風邪の患者に接する時も必要な心であり、堂園メディカルハウス(以下DMH)は心のケアをしてくれるのでと噂を聞いて来院する患者も少なくない。予想しなかった反響である。

一方、多くの医師はホスピスは、最期の最期に行くところであるとの認識が強く、患者本人や家族がDMHへの転院を強く希望しても、まだホスピスに行くには早い、あそこは死ぬ所だという説明をし、患者はぎりぎりになって来院することが多い。今回の論文がこのような状況を打破する役割りを担えばと思う。

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理想を抱く皆様へ〜祖国再生のための第一歩

理想という言葉は絶滅寸前の希少動植物のように、日本から消滅しかかっています。これが絶滅しないように日本人の誰かが踏ん張らなければ、日本という祖国に未来はありません。私の上の世代が夢を食い潰しつつあるとするのなら、次の世代である私達は残された夢を皆で育み、子の世代、孫の世代へと、伝えていく義務があります。

まず理想を抱き、その理想を実現するために夢を描き、そして、夢を実現するために行動する。このことの素晴らしさを、実際に示していく使命を最近痛切に感じています。

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マザーテレサへの道

昨年末、12月22日から28日まで、以前から是非行ってみたいと思っていたマザーテレサの施設に研修ボランティアへ行くことが出来ました。旅の目的は、この4年間頑張った自分へのご褒美と、たった一人で始めたマザーの活動が何故世界中に広がったのかを学ぶためでした。多くの寒さで震えている人を救うには、多くの毛布が必要であり、どのようにしたら多くの毛布を得られるかを学びたかったのです。そして、そのことが学べれば、今後の自分自身を含めメディカルハウス(以下DMHと略す)全体の成長、発展に大いに役立つと思ったからです。マザーテレサはもう20年以上前から尊敬しておりました。DMHを始めるにあたり基本的な考え方で影響を受けており、また、特別養子縁組を始めたのも、マザーテレサの考え方に強く影響を受けています。特に、「なくても与えよ」とか「傷つくまで愛せよ」等の言葉に出会いその思いに深く共感しておりました。

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わすれられない一冊の童話

私はとても大切にしている一冊の絵本がある。

 その絵本の表紙の裏には私がここ6,7年で看取った患者さんの名前が書いてある。その数は優に350名を超え、殆どが癌の患者さんである。そして、この絵本は多くの遺族の方にグリーフケアの一環として差し上げている。

 絵本の題名は「わすれられない おくりもの」(評論社刊)である。

 みんなに尊敬されていたアナグマが亡くなり、モグラやカエルやキツネ等森の仲間達は悲嘆にくれ、なかなか立ち直れない。

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